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ひきこもり対応|立ち上がりに向けての5つのステップ

お子さんが高校や大学を中退されたり、仕事を退職することよにってひきこもり状態になったとき、ご家族としてどのように接していけばいいか悩む方は多いです。

 

ひきこもりのお子さんがたどるステップと、時期に応じた対応についてお伝えします。ひきこもりの長期化を防ぎ、お子さんの早い段階でのひきこもり脱却のヒントにしていただけたら嬉しいです。

この記事でお伝えしていること

▫️ひきこもりとは

▫️ひきこもりの統計

▫️ひきこもりの要因

▫️ひきこもりの立ち上がりステップ

▫️ひきこもりの対応

▶︎この記事の著者

■略歴:OFFICE NAKAGAWA代表 なかがわひろか(中川広佳)

 

中学時代に不登校を経験。その後学校復帰。関西学院大学に合格する。大学卒業後、人材紹介会社にてマーケティング・人事を経験。

 

あるひきこもりの青年に出会ったことから、起業を決意し、専門的なカウンセリング・学習・キャリアサポートを行うOFFICE NAKAGAWAを2011年2月に設立。公認心理師、産業カウンセラーの資格を有する。

 

ひきこもりや不登校、発達障がいのご当人、並びにご家族のカウンセリング、学習サポートを行う。PTA、学校関係、行政関係など講演も行う。

 

得意としている分野は次の3つです。

1. 不登校やひきこもり、発達障がいを抱える方またそのご家族のケア

2. 心理療法を応用した学習・キャリアサポート

3. 親子の関わり方

 

▶︎ひきこもりについて

お子さんの様子を見ていて、以下のようなことがこの半年以内に起こってはいないでしょうか?

 

◻︎学校に行けなくなってから、部屋に閉じこもることが増えた

◻︎友達とも会おうともしなくなった

◻︎進学したが、すぐに辞めてアルバイトもしていない

◻︎子どもと話をする機会が減った

◻︎昼夜逆転しており家族と顔を合わせることがない

 

こういった状態が半年以上続いている場合、お子さんは「ひきこもり状態にある」と言ってもいいかもしれません。

▶︎ひきこもりの定義

ひきこもりの定義(厚生労働省)

「様々な要因の結果として社会的参加(義務教育を含む就学,非常勤職を含む就労,家庭外 での交遊など)を回避し,原則的には6ヵ月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状 態(他者と交わらない形での外出をしていてもよい)を指す現象概念」と定義(概ね従来通り)。

・なお、「ひきこもりは原則として統合失調症の陽性あるいは陰性症状に基づくひきこもり状態 とは一線を画した非精神病性の現象とするが,実際には確定診断がなされる前の統合失調 症が含まれている可能性は低くないことに留意すべき」

▶︎ひきこもりの統計

2022年(令和4年度)に内閣府が発表した統計によると、15歳から64歳までのひきこもりの数は約146万人と推計されています。

15歳〜39歳までを若年層、40歳〜64歳までを高年齢層とすると、若年層では、それぞれの年代がほぼ均等の割合になっています。しかし高年齢層においては、60歳〜64歳のひきこもりの数が多くなっています。

 

「8050問題」と言われるように、40代以上の子どもの面倒を年金や貯金を切り崩しながら70代〜80代の親が面倒を見る状態も深刻化しています。若年層だけでなく、高年齢層のひきこもりも見過ごすことのできないものとなっています。

 


2016年の内閣府の調査(15歳〜39歳を対象)を見ると、「ひきこもり状態になった年齢」の約6割は20代以上で、「ひきこもり状態になってからの期間」は7年以上が34.7%いるとされています。ひきこもりは気付けば5年10年が過ぎているものです。不登校に比べても長期化しやすいものと考えられます。

ひきこもりになった要因としては、不登校からの延長であったり、職場に馴染めない、人間関係がうまくいかないなどが挙げられます。うつ病やパニック症などの精神疾患をきっかけに休職→退職し、ひきこもりになるケースもあります。

 

注目すべきは「その他」が最も多くなっているという点です。実際にひきこもりは明確な理由がない場合のことが多いです。あくまできっかけは表面的なものであり、その背景にはお子さんが抱えている様々な思いがあります。犯人探しが重要なのではなく、今のお子さんとどう向き合っていくかが重要となります。

▶︎ひきこもりは「掛け算」で起こる

ひきこもりは「個人の特性」×「外部環境からの強いストレス」×「失敗経験」が「掛け合わされる」ことによって起こると考えられます。例えば発達に特性がある方で、他者とのコミュニケーションがうまく取れないということがあるとします。そのことによって人間関係が悪くなり、強いストレスとなります。精神疾患などを引き起こし退職することで失敗経験となり、ひきこもるようになると考えられます。

 

これは逆に考えると、いくら発達に特性があったとしても、周りの環境が「いろんな人がいていい」というスタンスだとストレス度合いは低くなるということです。失敗することもなくなり、この場合はひきこもりになることもありません。

 

個人の特性だけでなく、周りの方の理解も大きな要因になると言えるのです。

▶︎ひきこもりスパイラル

私が提唱している「ひきこもりスパイラル」という考え方があります。何らかのきっかけでひきこもりが始まることで①長期化する→②就学・就労の壁がより高くなる→③一歩を踏み出せず、時間が経過する→さらに長期化する、という悪循環に陥ってしまう考え方です。

 

ひきこもるからこそより一層社会に一歩を踏み出すハードルが上がってしまう状態を指します。大事なことはこの悪循環を「どこかで断ち切る」という発想になります。

▶︎ひきこもりから脱却するまでの5つのステップ

①抑うつ期

職場や学校の人間関係につまづいたり、馴染めなかったり、業務量が多く精神的にダウンしてしまうなどの要因から、ひきこもりが始まります。

 

ただひきこもるかどうかというのは、最初の頃はよくわかりません。心と体を休める時期をひきこもりとは誰も呼びません。ただその期間が長くなることで気づいたらひきこもりになっている、という状態になります。

 

ひきこもりのステップとしての第一段階は抑うつ期です。理由がどうであれ、気持ちが沈み、ときに医療的なサポートが必要な状態になります。この時期に起こりうるのは以下のようなものです。

抑うつ期のサイン

▫️食欲が落ち、睡眠もうまく取れなくなる

▫️趣味を楽しむことがなくなる

▫️イライラしたり、急に怒り出したりする

▫️家族との会話が減り、部屋に篭りがちになる

▫️仕事や学校に行きたくないという

▫️友達とも会おうとしなくなる

この時期に何かを前向きに取り組もうという気力は湧いてきません。この時期に必要なことはまず「休むこと」になります。この時期は、時間を気にせず寝起きし、まずは身体を休めることです。まず休息を取ることから、日常生活を送れるようにすることを目標にしていきます。

 

昼夜逆転をすることもありますが、この時期はあまり気にしなくて構いません。体調が良くなっていくと規則正しい生活をしようと思えるようになります。

 

この時期は趣味にも取り組む気力がありません。一日中ぼーっとしたような状態で、口数も少なく(かと思ったら多弁になることもあります)、食欲もあまりないか、食べ過ぎるということが起こります。

 

気持ちにも波があり、イライラしたり、「自分はもう生きている価値がない」と言ったりを繰り返します。この時期は何かを「する」のではなく何もしないことを第一に考えていきます。

抑うつ期の対応で気をつけること

 しっかりと安心して休める環境づくりが必要となります。ここを中途半端にし、「早く働け」「学校に行け」としてしまうと、お子さんはよりひきこもるようになります。やがて家族と顔を合わせなくなり、本格化なひきこもり状態に突入していきます。

 

医学的なサポートも必要な時期でもあります。心がしんどくなったらできるだけ早い段階で専門家のアドバイスを受けるようにしましょう。お薬による治療が始まることもありますが、最初から強い薬が処方されることはありません。副作用のことを医師に確認をとりながら、上手に向き合っていくことが必要になります。

 

この時期は、何よりも「休む」が重要になります。何かをするのではなく、一週間〜二週間ほどの期間を定点として、お子さんの様子がどのように変わっていくかを観察するようにしましょう。

 

この時期親御さんとして、どう接していいかわからなくなることもあります。親御さんがこの時期に専門家に相談することも重要なことです。相談し、親の思いを話すことで、気持ちを落ち着かせることができ、お子さんのへの対応を冷静に考えられるようになります。

 

②怒り期

人にも寄りますが、暴言や暴力を振るうことがあります。特に男の子からお母さんに向かうことが多いです。

 

この頃の心理背景としては、仕事も学校にも行けず(場合によっては退職、退学し)、想定していた自分の人生とは異なる状態に置かれることで「こんなはずじゃなかった」という思いになります。

 

職場や学校、社会に対しての怒りが芽生えてきます。しかしそれをぶつける対象は曖昧です。そこで一番近くにいる「親」に対象が向かうようになります。

 

今の自分のように学校や職場に適応できなくなったのは、過去の親の子育ての責任である。あのとき自分が行きたい学校じゃなかったのに親に無理やり塾に行かされ中学受験をさせられた、みんなが持っているゲームを買ってもらえなかったので、仲間外れにされた、それらはすべて「親」のせいだ、という思考になります。

 

過去の細かい発言などを取り上げ、徹底して親を攻撃します。冒頭に述べたように親、といってもお父さんではなく「お母さん」です。強い者ではなく、自分より弱い者に攻撃性は向かいます。

 

最初は言葉で、そして次第に行動にうつるようになります。物を投げつける、素手で身体を叩く、背中から蹴り付ける、暴力はエスカレートしていきます。

怒り期の対応で気をつけること

暴力への対応は、「言いなりにならないこと」に尽きます。暴力を振るわれたら、家から出るなど「罰」が必要になります。そのくらいのことをしてしまったんだと認識してもらうことが重要です。

 

この認識がないと暴力は常態化していきます。そうなるとご家族は怒らせないように、とお子さんの動向を常に気にしながら生活することになります。

 

家庭の中に「緊張感」が生まれてしまうと、より暴力は激しくなるのと、ひきこもりの期間も長くなることになります。なぜなら、一歩外に出たら誰も自分の言うことを聞いてくれないからです。外の世界のことにより強い恐怖心を抱くようになり、家庭の中で「王様」のようになります。

 

暴力には絶対に屈しないために、お子さんの行動が止まらないならば、警察に連絡することも必要だと思っておきましょう。そのくらいのことをやってでも暴力は絶対に止めることを大事に考えます。

 

しかしながら、注意だけ、では人の行動は変わりません。もしお子さんが暴力に頼らない方法を取ることができたら、そのときは「暴力に頼らず対応できたね」と労うことはとても大切なことです。

 

良い行動をしたら、労う、暴力を振るったらきちんと注意する。この意識を大事にしましょう。

 

③絶望期〜現実を見る時期〜

絶望という言い方をすると、マイナスの印象を受けると思います。しかし私はこの絶望の時期はとても重要なものと考えています。

 

どうして絶望気が重要なのか?それは「現実を見ることができているから」です。特に怒り期においては、今の自分がこうなったのは、社会や政治や、育てられ方のせいである、と「他責思考」になりがちです。他者の責任にしている間は、自分のことを省みることはありません。そのため自分の足りていないところや、努力できていないところには目を向けられない状態になります。

 

しかしその時期を経て、現実に目を向けるようになると「もうこんなにひきこもってしまった」「こんな自分は社会に出られないかもしれない」と目線が他者ではなく「自分」に向くようになります。だからこそ「絶望」することになります。

 

自分と向き合うことができる大事な時期になります。この時期を経て、次の「安定期」に移っていきます。

絶望期の対応〜お子さんが自分と向き合えるようにする〜

この時期に大切なことは、お子さんが自分と向き合えるようにしていくことです。そのために「元気を出しなさい」など無理な励ましは必要ありません。お子さんの話に耳を傾け、受け入れながら聴いていくことが必要な時期です。

 

話を聴いてもらうことによって、お子さんは思いをぶつけながら自分の気持ちと折り合いをつけていくようになります。そうやって話しながら物事を整理していくのです。

④安定期〜本当のひきこもりはここから始まる〜

心と身体をしっかりと休めることができ、暴力に対しても適切に対応することができると、お子さんの状態も落ち着いてきます。働いたり、学校に行ったりは難しくとも、家庭の中では暴れることもなく、また過度に落ち込むことも減り、趣味などに時間を費やせるようになります。家事をすることもありますし、家族のために何かしよう、という気持ちが行動につながることもあります。

 

一方で、この安定期が「停滞期」になるおそれがあるのもまた事実です。本当のひきこもりはここから始まると言っても過言ではありません。実はひきこもり対応において重要なのはこの時期なのです。

 

暴力もなくなると親御さんは「暴力の時期に比べたら随分落ち着いた。今はそっとしておいたほうがいい」と思われます。一方で「また暴力期に戻ったら困る」という思いから、積極的な提案もされなくなります。今の穏やかな生活が続けばいいと感じてしまいます。

 

「本当のひきこもりはここから始まる」と言ったのは、この時期から、親御さんがお子さんに対して積極的な提案を行わなくなり、進展が見込めない状態が続くようになるからです。ひきこもりが長期に渡っている方は思い起こしてみてほしいと思います。お子さんの抑うつ期や暴力期よりも、比較的落ち着いて過ごせている時期の方が長くないでしょうか?

 

気分のムラもなくなっているけれど、仕事も学校にも行けない。状態は落ち着いているけれども、進展が見込めない状態が「停滞期」となり、この期間が長くなることで「ひきこもり」状態となると考えられます。ここで「落ち着いているから、しばらくこのままで大丈夫」と思うことで、ずるずるとさらに年月が経ってしまうことがあります。

 

ここから次の段階に進むためにも、親御さんにはぜひ知っておいてほしいことをお伝えします。

安定期の対応

「子どもに提案をしたいけれど、また暴力やイライラにつながったらと思うと怖くなる」というご意見をよくお聴きします。せっかく状態が良くなったのだから、あまり刺激をしないようにしたい、と思われるお気持ちをお察しします。

 

そこで一つのキーワードとして「暇」というものを挙げたいと思います。

 

「暇を感じているかどうか」

 

お子さんから「暇」というワードが出てきたら、それは現状を変えていくためのサインになります。定期を迎えてしばらくしたら、次は積極的に提案を行う時期になります。もちろん対話のポイントを押さえた上で、提案します。いきなり就労は難しくとも、職業訓練や、就労移行支援を受けることもできます。

 

大学を目指すなどの場合は、塾や家庭教師を検討するのもいいでしょう。ひきこもりが長期化しているご家庭の多くは、暴力期が長く続いているわけではないのです。

 

むしろ暴力が収まり、落ち着いた状態が長く続いていることが多いです。過去を振り返ったときに、暴力など荒れていた時期よりも、落ち着いている時期の方が長くないでしょうか。

 

お子さんから自発的に動き出せるのが理想です。しかし待ちの姿勢だけだと、時間が過ぎてしまいます。お子さんの様子を見ながら、一度話をする機会を作るようにします。

お子さんとの対話に重要な3つの力

ここでお子さんと話をする際に必要なポイントについてお伝えします。お子さんとの対話を進めていくために「3つの力」を推奨しています。

 

その3つの力とは「共感力」「受容力」そして「率直力」です。

お子さんとの対話に必要な3つの力

①共感力

共感とは「あたかも自分も感じているように感じること」になります。「そうか、しんどいよね」と感情の言葉に反応することでお子さんは「共感してくれた」と感じやすくなります。

 

共感は聴き手が「共感していますよ」と伝えることが大事なのではありません。あくまでお子さん本人が「共感してもらっている」と感じられることが大事になります。

 

それを感じやすくしてもらうのが「感情の言葉に反応すること」です。「悲しい」「辛い」「苦しい」などの「一語で表せる言葉」が感情の言葉です。一回の対話でそう何度も出てくるものではありません。だからこお子さんの方に意識を向けて話を聴くことが必要になります。

 

そのときの姿勢はまさにお子さんの方に「傾いて」いると思います。だから「傾聴」と言うのです。傾聴は姿勢も重要になるのです。

 

②受容力

共感力は大切なことですが、お子さんの話にいつも共感できるとも限りません。「仕事をしたくない」と言ったときに親はしてほしいと思っているのに「そうだねしたくないよね」というのは「嘘」になります。

 

共感がうまくできないと思ったときは「受容」を大事にします。受容とはお子さんの思いをそのままに受け止めることです。「仕事をしたくない」と言われたら「そうか、働きたくない気持ちがあるんだね」と返します。お子さんが言ったことに評価や判断を下すのではなく「まず受ける」ことを意識します。

 

受容は親子のコミュニケーションにおいて最も重要なものです。もしうまく対話ができていないときは受容を見直すだけでも効果があります。

 

コミュニケーションは「キャッチボール」に例えられます。受容がないコミュニケーションはお互いの投げたボールを受け取らず、自分の投げたいボールをお互いにぶつけ合っている状態です。

 

お子さんのどんな思いでもまず「受ける」ことを意識してみましょう。今お子さんとのコミュニケーションがうまくいっていない場合は、まずはここだけでも意識すると大きく変わってくる可能性があります。

③率直力

率直力とは「自分の思いをありのままに話す力」です。率直力は質問の際にも生きます。例えばお子さんが不満そうにしていたら「今不満な気持ちがあるかな?」と率直に尋ねるようにします。この方が話は進みやすくなります。

 

率直力には3つのポイントがあります。

 

1. 人格否定はしない

これは大原則ですが、いくら率直だからと言っても何でもかんでも思ったまま言っていいことにはなりません。人格否定はやめ、お子さんが受け取りやすい言葉で話すようにします。自分だったらどう言われたら素直に受け止められるだろうか。この視点での発言を意識しましょう。

 
2. 本当に伝えたい思いを掘り下げる

親として伝えたい思いがある場合、まずはご自身で掘り下げるようにします。どうしてそう思うのか?という問いを自分に投げかけてみましょう。掘り下げた先にあるものが率直な思いです。その思いを伝えるのが率直力なのです。

 

3. アイメッセージで伝える

アイメッセージとは「自分を主語にして伝えるメッセージ」を指します。アイメッセージの「アイ」は英語の「I」です。「私はこのように思うよ」と自分を主語について伝えるようにします。そしてその後に「あなたはどう思う?」と意見を尋ねるようにします。こうすることで親としての意見を伝えてくれた上で自分の意見も聴こうとしてくれているとお子さんは感じられるようになります。

 

これらの、3つの力を意識して、親御さんの思いもちゃんと伝えるようにしましょう。そうすることで、お互いに腹を割った話し合いができるようになります。この話し合いができれば、安定期が停滞期になることを防ぐことができます。

⑤準備期〜ひきこもりからの脱却に向けて動き出す時期〜

そして迎える第5段階の準備期です。安定期を過ごしながら、徐々に外に出ることに向けて動き出します。生活リズムを整えたり、外出が増えたりします。短期的なアルバイトを始める方もいます。

 

就労や就学に向けて具体的に考えていく時期です。就労の場合は、まずは短期のアルバイトから、徐々に頻度を増やしていきます。就学の場合は主に大学受験が多いですが、自分の学んでみたいことなどを見つけていきます。アルバイトをしながら並行して考える場合もあります。

準備期の対応

お子さんが自ら動き出したときは、周りは何かをするというよりは、「勇気を持って任せる」ことが大切です。就職のお世話をしたり、大学を探したりというのは親ではなく本人に任せるようにします。

 

その理由として、ひきこもりを経験される方の中には、これまで親が敷いたレールの上を歩いてきた方が多いです。自分が決断して取り組んできたよりも、親に言われて受け身になってやってきた経験を持つ方がいます。

 

自分で決めた道を歩まないでいると、自分の決断に自信を持てなくなります。またうまくいかないときには「自分で選んだのではなく無理やり選ばされた」と感じるようにもなります。

 

お子さんはやがて親のいない人生を歩んでいくことになります。10代後半以降になると、自分で物事を考える力は十分に身についています。

 

だからこそ「勇気を持って」任せるようにするのです。そしてお子さんが決めた決断をサポートするようにしましょう。このようにしてこれからの人生はお子さんは自分の選んだ道を生きていくようになります。

▶︎ひきこもりからの脱却に向けて今できることを考える

ここまでひきこもりになる要因から、どのようなステップを辿りながら、ひきこもりから脱するかについてお伝えしてきました。

 

ひきこもりのステップ

①抑うつ期

②怒り期️

③絶望期

④安定期

⑤準備期

これらの経過を経たのち、短期的な仕事ではなく、長期的な仕事や就学に繋がっていきます。今お子さんの様子を見て、どの状態にあるかを確認してみましょう。安定期に入っている方は、この辺りからお子さんとの対話力を見直し、積極的な提案をできる状態を目指していきます。まだ始まったばかりの方は、まずは休息が必要となります。医師などとの関わりを密にし、経過を見流ことを大事にしていきましょう。

 

ひきこもりから脱け出すことは十分に「可能」なことです。それぞれのステップの中での関わり方を意識することで、長期化を防ぎ、新たな段階に取り掛かるハードルを下げることができます。結果的にお子さんが家の外に出る機会を増やし、自分で稼いで生きていく力を身につけていくことになります。

 

このブログでは、ひきこもりの基本的な経過や対応についてお伝えしました。親子だけではなかなか前に進めないケースもあるかと思います。その場合は、一度当事業所にご連絡ください。無料カウンセリングをご利用いただき、一緒にどのように取り組んでいけばいいかを考えていきましょう。きっと課題を乗り越える道筋が見えてきます。

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▫️OFFICE NAKAGAWAについて

ひきこもり・不登校・発達障がい専門カウンセリングルーム

OFFICE NAKAGAWA 

 

【事業内容】

①ひきこもりや不登校、発達障がいの心理ケア

②高校・大学受験などの学習サポート/就労のためのキャリアサポート

③メンタルヘルスなどに関連する講演・研修

 

 

発達障がいを抱える方やひきこもり、不登校状態のお子さんの就学・就労サポートを得意としています。

お子さんの将来のことでお困りの方は一緒に考えていきましょう。

 

代表 なかがわひろか(中川広佳)